今回三日月いいとこなし! 機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第45話(二期20話)「これが最後なら」感想

ネタバレ入ります。

先週までで思想的なこととか戦略的なこととかは全部終わったので、今日は戦闘シーンのみ。

その意味ではあまり考えることはなく、サラっと観られた気はします。

死者が出ちゃったけどねえ…(泣)

次はお前だったか、シノ…(泣)

■ラスタルさま独壇場

数的な戦力はおそらくほぼ互角だったんじゃないかと思う。

ただアリアンロッド艦隊はラスタルのもと指揮系統も一枚岩だったけど、

マッキー軍は主力である地球外縁軌道統制統合艦隊と革命軍の練度に差があり、

鉄華団は遊撃隊として好きにやらせるしかなかった。

本来だったらアリアンロッド艦隊も

「ラスタル艦隊」と「イオク分艦隊」くらいに分かれていたかもしれないが、

ここにきてイオクのこれまでのバカを見逃してきたことが役に立っている。

イオクもさすがにここまでアホやらかしたら自分勝手に動くことはできず、

ラスタルの副官(というより監視)として立ってるだけ。

そしてイオク艦隊――あの忠誠心厚いイオクの部下たちは、

これまで主君のアホを見逃しまくってくれてきたラスタルに感謝があり、

「ラスタルさまの言うことを聞くことがイオクさまのためになる」と、

ラスタルの直接指揮を全身全霊で聞くことになる。

さらに加えて敵中に伏兵を置いて、

禁忌兵器ダインスレイヴを先に使ったことにさせ、

自分たちが同じ武器で報復する大義名分を作る。

実際、あれだけ大量のダインスレイヴを用意しておいて、

しかもきっちりとした隊列を組んでの射撃。

「前もって用意して訓練してたとしか思えん」と後で問題になるかもだけど、そこは勝てば官軍。

勝った後ならなんとでもなるからな。

というわけで今週はマッキー、最初から最後までやられっぱなしだったね(苦笑い)。

というか、相変わらず杜撰(ずさん)というか、

政治的謀略家としては優秀かもしれんが、

戦略家、戦術家としてはイカンのじゃないかな(苦笑い)。

■ジュリエッタちゃん、三日月に完勝

今回はさらに、ジュリエッタちゃんが三日月に完勝だったね。

正面切っての戦いではなく、戦略的意味で。

今日は三日月と二回戦ったわけで、

第一戦がダインスレイヴを使うまでの時間稼ぎにバルバトスの動きを制限すること。

今のバルバトス・ルクスレクスは、一対一ではもう抗いようがないでしょう。

できるとすれば、同じガンダムフレームで、なおかつ阿頼耶識を搭載して、

さらに強烈にカスタマイズされた機体くらいで、

それこそバエルやキマリスヴィダールじゃないと。

だから本来であればキマリスヴィダールを使う方がいいんだろうけど、

ガエリオはあくまでラスタルの部下ではなく協力者で、

さらにバエルが出てきたときのために備えないといけない。

ガエリオにしても、マッキーと戦う方が本懐で、

そっちをおろそかにするわけにはいかない。

そうなるとまがりなりにもバルバトスとなんとか戦えるのはジュリエッタちゃんしかいない。

他のザコMS、パイロットじゃ、足止めすらできず簡単に蹴散らされるだけだ(苦笑い)。

だからラスタルの「お前しかいない」というのは、

決して誇張でも世辞でもないんだろう。

それらすべてをわきまえ、

機体の損傷も覚悟の上で全力で狼王につっかかるジュリエッタちゃん。

おそらくバルバトスの動きとか研究もしてたんだろうなあ。

あれでバルバトスを足止めしてたからこそ、

ダインスレイヴを使い、一気に圧倒的優勢に戦況を持っていけた。

もしバルバトスが自由にふるまっていたら、

ダインスレイヴ部隊に突っ込んでって、

大部分をボッコボコに破壊してただろうからね(苦笑い)。

だからミカは本当は、ジュリエッタちゃんを振り切り、

ダインスレイヴ部隊へ突進していくのが一番よかった。

ただあの段階ではあの部隊について、

まったく知識もなかったわけだからそこは仕方ない。

だけど第二戦、シノの特攻を失敗させたのは、完全に三日月のミスだ。

戦艦による特攻と思わせて、

流星号のスーパーギャラクシーキャノンで敵旗艦の撃沈。

これが鉄華団窮余の一策、最後の賭けというのはわかってた。

だとするなら、絶対どんなことがあっても、

シノが撃つまで敵機に流星号の邪魔をさせてはいけなかった。

ジュリエッタちゃんに最後の最後、発射の瞬間に攻撃を許すなんてありえんよ。

相手の方が圧倒的に強くてまったく余裕がなかったのならともかく、

圧倒的に強くて余裕があったのは自分の方なんだから、

これは完全に凡ミスで絶対に許されん。

あの瞬間、鉄華団の意図を悟り、バルバトスという最凶の敵と戦いながら、

ラスタルを守るため攻撃を仕掛けたジュリエッタちゃん。

気迫と執念と執着心で、今回は完全に三日月を上回ったな。

ジュリエッタちゃんたちとの実力差もあり、

もともとあの少しズレた余裕が強みではあるけど、

今回は完全に余裕と油断を履き違えた三日月。

珍しく完敗でした。

■そこまで狙うか制作陣(笑)

笑っちゃいけないんだが、ヤマギにそこまでやらすか、公式で(笑)。

もう腐女子のみなさんに餌蒔きまくりじゃないですか(笑)。

逆にあそこまで露骨にやっちゃうと、

返って興ざめになってしまわないか心配になるくらいでしたがな(笑)。

あそこまでやっといて、

「死んだ兄貴がシノに似てたからあそこまで執着してただけで、そういうケはヤマギにも無い」

という裏設定があったりしたら、それはそれでおもしろいが(笑)。

しかしまあ、そのケがあったとしても、

シノに最期に告白するってわけにはいかないから、そこは気の毒だよなあ。

シノだと反射的、本能的に引きそうだし、

そういう恐れがある以上、どうやったって告白はできない。

悲恋だねえ…

■アトラが健気すぎて…

全編戦闘シーンだった今回、アトラの出番は少なかったけど、

それだけに彼女は本当はあそこにいちゃいけないんだと、

あらためて感じてしまいましたよ。

戦闘食作り続けて、キッチンの片隅で頭をかかえて「怖くない怖くない」と繰り返して。

あれほど戦場に似つかわしくない女の子が鉄華団にいるのは、ひとえに三日月のためだけ。

ミカは戦えなくなったら絶対に農場に行って、そこでアトラと穏やかに暮らしてあげないと。

■本当に「残念」とか「惜しい」とかが似合うイオクさま(苦笑い)

「バカは死ななきゃ治らない」を地でいくタイプだけに、

たぶん根本的には治ってないイオクくん。

それでもさすがにここまで失敗・失策を重ねると、

熱さも喉元を通っている最中だろう。

過ぎればまた復活するだろうが、今はおとなしくしている。できている(笑)。

そして彼が動かずしゃべらないだけで、

なんと事がスムーズに、思い通りに動いていくことか(笑)。

動いても動かなくても無能さをさらけ出せる、

ちょっと類を見ないほど希有なキャラクターだな、イオクくんは(笑)。

そのクジャン家当主、

シノの最期の攻撃から守ろうと、ラスタルの前に立ちはだかる。

ああいうシーンって他のアニメでもちょいちょい見る気はします。

あれは砲撃の前にはまったく無意味なんだけど、

それでも忠誠心と覚悟の現れとして、

見てる方に感動や敬意をおぼえさせるいいシーン。

だけどイオクがやるとどうしても

「いやそれ意味ねーから」の方が前面に出てきちゃうんですよね(苦笑い)。

同じ行為なのにこれほど印象が違う。

人は普段の行いって大切なのねえ、とフィクションですら学べる気になるよ(笑)。

自業自得とはいえ、残念、惜しい、イオクくん(笑)。

■マッキー、ラスボス補正で突破か(苦笑い)

ここまで三日月同様、まったくいいところがないマクギリス。

バエルを出して兵を鼓舞し、志気を高め、残存兵力を糾合していくのはいいけど、

このあと逆転の策があるのか?

ここまでこのテのことは、無策というか、

意外と行き当たりばったりなことが多いだけに、

そんな良策がある気がしないのよね、マッキー(苦笑い)。

だいたいダインスレイヴ部隊も残ってるわけだし、

残存兵力を集めても的にされるだけで終わっちゃう可能性が一番高い。

ジョーカーである鉄華団もすでに打つ手なし。

普通に考えればこのまま全滅エンドだけど、

とはいえこのまま完敗して戦死ってのはラスボス的にありえないし、

その辺の補正がかかるのかな(苦笑い)。

■本質はイオクと変わらないラスタルさま

経験や能力はともかく、

ああいう形で味方を殺すことにためらいを見せないラスタルは、

やはり本質はイオクたちと変わらないんだなとわかる。

自分たちより身分、というより存在が低い者は、人として扱う必要はない。

それまではギリ憎めないヤツだったイオクが、

視聴者的に絶対に「ダメ」となったのは、

非武装の民間人を虐殺したところからだけど、

ラスタルもそこは同じだと、ちょいちょい見せてくる。

ジュリエッタちゃんを大事にする心にも嘘はないだろうけど、

それでも絶対的な「ライン」は存在すると思う。

そのラインの内側では大切にするけど、必要とあらば外側へ押し出す。

それも本人が気づかないやり方で。

今回のバルバトス迎撃命令は、おそらくそれだ。

ジュリエッタちゃんの力ではバルバトスに対抗しようがないとわかっていて、

それをフォローする対策はなにも与えず、強行させる。

ジュリエッタちゃんが死んだら死んだで構わないと考えているとしか思えない。

マクギリスの、ガエリオやカルタに友情を感じていたという言葉に嘘はないとぼくも思う。

だけど彼の中では二人に対して厳然たるラインがあった。

その意味では、理由や質は違えど、マッキーとラスタルは同種の人間だ。

ガエリオは石動のことを「人がここまで愚かになれるとは!」とののしっていたけど、

ジュリエッタちゃんも同じ「愚かな」人種だとわかっているんだろうか。

つまりそうさせているラスタルが、マクギリスと同じ人間だとわかっているんだろうか。

わかっているんだとすれば、

やはりラスタルとの関係は妥協で、心底からつながってはいないんだろうな。

■鉄華団色に染まる

ハッシュたちもいつの間にか鉄華団の色に染まっていたな(苦笑い)。

その中でザックだけが変わらない。

あれは普通に考えると、組織内の異端者で、

足を引っ張る臆病者として描かれるっぽいけど(初期のカイ・シデンとか)、

おやっさんの言葉で、そういうのとは一線を画す大切な存在に見えてくるな。

タカキ同様、最後まで生き残ってほしいもんだ。 

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